大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)2771号 判決

被告人 芳賀武治

〔抄 録〕

原判決が被告人に対し罪となるべき事実として所論のような事実を認定しこれに対し刑法第二百四条第二十五条を適用し、被告人を懲役二月に処し、二年間右刑の執行を猶予する旨の言渡をしたことは所論のとおりである。

而して裁判所法第三十三条第二項によれば簡易裁判所は刑法第二百四条に該る罪については禁錮以上の刑に処することができないものであり、簡易裁判所が右罰条に該る罪に対し禁錮以上の刑を科するのを相当と認めるときは裁判所法第三十三条第三項刑事訴訟法第三百三十二条の規定に従い事件を地方裁判所に移送すべきであつて懲役刑の執行を猶予するのを相当と認める場合と雖、右規定に違反することは許されない。故に原裁判所が本件の罪につき前示のように懲役刑を選択処断したことは前記各訴訟手続に関する法令に違反したものであつて、右違反は判決に影響を及ぼすことが明らかなものと認められるから論旨は結局理由がある。(所論は原審は不法に管轄を認めた違法があると主張するが、簡易裁判所は刑法第二百四条の罪については本来管轄権を有するものであつて、原裁判所は上記のように科刑範囲の制限に関する訴訟手続の法令に違反して刑の言渡をしたものに外ならないから、これを刑事訴訟法第三百七十八条第一号所定の事由に該当すると解するのは相当でない。)

要するに本件控訴は理由があるから刑事訴訟法第三百九十七条により原判決を破棄し同法第四百条本文に従い本件を原裁判所に差し戻すこととし主文のとおり判決する。

(谷中 坂間 荒川)

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